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From the Horse's Mouthに参加して|1

山崎広太


ユダヤ系のすごく大きなコミュニティ・カルチュラルセンター、92nd Street YのHarkness Dance Centerが75周年記念を迎え、たくさんのプログラムが催されたなかで、Tina CrollとJamie Cuninnghamが主催するFrom the Horse's Mouthの、参加者総勢70~80名に及ぶプログラムに参加した。かつて、このプログラムを10年程前にSt. Mark's Churchで見たことを思い出した。その時の印象は、リレーのように、ダンサーが自分のエピソードを語りつつ、入れかわり立ちかわり踊るもの。アメリカならではのコミニティダンスを感じた。その公演は、英語が解らなくても、とてもいい印象を僕に残した。
今回、一回きりのリハーサルに参加するために、大きなスタジオの扉を開けた瞬間、ここは老人ホームか?と思った。何故なら、白髪の老人の方が主で、男性は皆、禿げている。中に、いま活躍中のダンサーも数人いた。そして老人のダンサーは主に、昔ビッグカンパニーで踊っていた人たちで、今も尚、このような機会がある時に、顔を合わせ、まったく自分の踊りたいダンスを楽しむかのように踊っている。ダンスを活性化するために、このような世代を超えてのコミニティは必要だと痛感。そして、皆、他人のダンスを、良いとか悪いとか干渉せずに、全て受け入れている環境だった。これこそ、老年になってこそ共有できることなのだろうか。そして、その中には、中学生のバレエの子、アイリッシュダンス、インド舞踊、評論家、ダンスマガジン編集長、ADFディレクター、等の方々が混じっていた。

このHorse's Mouthのストラクチャーは上手く出来上がっている。先ず紹介すると、

"A"セクション(コスチュームは黒をベースにして、赤いスカーフ、リボン等でアクセントを付ける)
1. 簡素なストーリーを言う
今までの経験談、問題を起こしたこと、解決されていなことも含め、ダンスを通しての不思議な体験等を話す。
2. ダンスの場所
16カウントの振付、またはインプロ。そしてダンスをする前に、紙をめくり、そのダンスのテーマが告げられる。
3. 空間移動
16カウントの振付されたステップ、またはインプロ。同じように紙をめくり、移動のコースが告げられる。
4. 他のダンスの方々と慣れ親しんだり、真似をしたりする。

"B"セクション
コスチュームを着て、斜めに踊りながら進む。

"A"セクションでは、これらがリレーのように、入れかわり立ちかわり、同時に進行し、1の話をする方は、真ん中のスポット。2のダンスの場所は、上手奥のポジション。3の空間移動は上手前から始める。4は下手前から始める。
"A"セクションで、5名位の話をする方が終わったら、上手奥から下手前に斜めに、"B"セクションが始まる。それで、AとBの繰り返しの構成。

初めてのリハーサルに関わって、何でこんなに楽しいのだろうと思った。本当に良くできているストラクチャーだと痛感した。やはり話をする人の存在の方がダンスをしている人よりも強くなるのは事実。でも、お客さんはしっかりと、ダンスも見ている。ダンスマガジン編集長のWendyさんからは、美しいダンスをするね~と言われた。内心、ちょっと嬉しかった。

さて本番の日を迎えた。僕もかなり訓練した自分のスピーチもいけるだろうと自信を持っていたのだが。リハーサルではダンスはOK!しかしスピーチになった瞬間、足もすくんでしまい、まったく真っ白になってしまった。やはり原稿を見ながらでないとできないことが発覚。原稿を見て話しても、主催者のJamieからWhat's, What'sと何度も指摘されて。あ~ん。地獄だ。そして、だんだん思い出してきて、スムーズに話せてきても、またWhat's と尋問される。内容は、セネガルでトイレから蟹が出て来た話だった。僕自身、実際経験しているので、言葉を羅列するだけでイメージが浮かぶ。トイレに蟹が湧いたといっても、何故湧いたのか、どういう仕組みから蟹が湧いたのか説明しないと納得がいかないらしい。それで、ストーリーに書かれている原稿を実際見せて、かなりの言葉も省略されて、これでいいだろうということになった。そして、ドレスリハーサルではOKが出たのだが、見ている方々、だれも笑わないし(実際、誰も見ていなかった)自分の中で、かなり寒くなってしまった。

本番を迎えた。この由緒ある広い空間が会場で、その隣のスタジオが楽屋なので、皆のダンスは見れない、でもお客さんが笑い話している声が楽屋でも聞こえ、楽しんでいる印象が伝わってきた。楽屋では、ADFのCharles Reinhartがいるし、評論家のDeborah Jowitt、ダンスマガジンのWendy Perron、そして何より、そんな方がいても脇目もふらず、まったく関係ないかのごとく自分のダンスを一生懸命練習しているこの皆の雰囲気が好きだったし、僕は話す人もいないので、その方々の様子をのぞき見て楽しんでいた。日本に来たことのある、Maureen Flemingは、異常な気を発していた。出番だ。Deborah、Wendy, 僕、そしてMaureenと続く、なんと豪華メンバーだ。彼女らのスピーチは素晴らしい、完成度がかなり高い。そして厳粛でフォーマルな雰囲気の中、ついにスピーチ(実は、スピーチは不安だったので、事前にプレイバック2の歌を歌ってOKがでていた)Deborah、Wendyに挟まれて、山口百恵の「プレイバック Part 2」を歌った。この歌は間合いが重要で、間奏の部分をどういうふうにお客さんとコミュニケーションするかが狙いだと思って、歌は下手なんだけど、歌っていて大丈夫ですか?っていう雰囲気で歌い終わった。お客さんから、結構いい拍手をもらったらしい。もう~それどころでなく拍手は聞こえず、次の1のダンスの場所に。でもプレイバックの歌の内容を考えると、DeborahとWendyの厳粛なダンスしている中、この映像がNYパブリックライブラリーに保管されることを思うと、ぞっと身の毛がよだってしまう。歌い終わった後の、Wendyとの交換のダンスは楽しかったし、同時にMaureenは、周りのこととはまったく関係なく踊っているのも心地よかった。そして1日目が終わった。

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Text: 12
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by bodyartslab | 2010-03-06 00:01 | Essay